フレッシュマン共の眩しさが憎たらしいよ。そのちょっぴり不安げな眼差しと屈託のない笑顔がいけないんだ。あーちょっと君。そう君だ。うん、君のパンストの色は、ナチュラルでとてもいいね。素晴らしいよ。だからこっち来なさい。バタン、ガチャ。じゃあそこ座って。いや、緊張しなくていいからね。これは社会人として誰もが通り抜けることだから。それであのね、片足靴脱いでみて。ほら、早く脱ぎなさい。うん、そうだ。じゃあその足を近くでよく見せて。いいから。ほら。おい君、こんなことは社会人として常識だよ!? だから安心していいから、ね? で、君の素敵なつま先は、どんなニオイを放っているんだ? どんだけフレッシュなニオイなんだ!?

っていうビデオを撮りたいんだけど、どっか採用してくれるメーカーないですかね? 俺だって不毛な妄想をインターやらネットやらに上げるんじゃなくて、ちゃんと社会とコミットしたいんだよ。うん。あと、いい歳こいて仕事に遅刻なんてしたくないよなあ。

昼過ぎにコソコソと会社のあるビルに入り、そのまま売店に寄ったらそこのおばちゃんにこんなこと言われちまった。

「あら、今日もお寝坊なの? お寝坊ちゃん?」

俺は32歳で

サラリーマンで

ハゲで

水虫で

スケベじじいで

変態性欲者で

それでいて、なおかつ

お寝坊ちゃんだ。