■
地球最後の日に何を食うかって、そんなもん、おにぎりに決まってるじゃないか。
おにぎりをむさぼるコウイチ。モグモグ。ん? オリベたん、 なに? なんか用? モグモグ。
「おにぎり…」
え、これは駄目だよ、あげないよ。いくらオリベたんでもこれは駄目だ。やっと買えたんだからな、売店で。いつも売り切れてるからね。モグモグ。
「お………にぎり」
ええい、駄目だって! あのね、これは子供にはまだ早いの!
「……あたしだって、おにぎりぐらい食べたことあります」
ははは、馬鹿な。君が今まで食べたおにぎりなんて全部ニセモノだよ!
「ガーン!」
---------------------------------------
席に戻り、椅子の上に体育座りでたたずむオリベショウコ。
得意の小走りでまっつんが近付く。
「オリベたん、どうしたの? 悲しそうな顔して」
「まっつんださん…あたしが今まで食べてきたおにぎりって、なんだったんでしょう?」
「それは子供のおにぎりでしょ?」
「あたし、もう大人です! いろんなおにぎりだって食べました!」
「子供はみんなそう言うんだよ…」(微笑みながら)
「えー…」
夕日がふたりを優しく包んでいた。