大家がアパート壊して家建てるってんで、あと1年半くらいしかここにいられないことになっちゃった。終わりをはっきりと決められてみると、普段特に気にもとめていなかったこの街の風景が、かけがえのないもののように感じられる。見慣れた街路樹、角のピンサロ、道端のゲロまでもが輝いて見えるよ。

できればずっとここに住んでいたいと思う。だって、この街には僕の思い出が詰まってるんだ。あちこちに思い出の場所があるよ。オヤジに意地悪されたラーメン屋。黒人にからまれたファミレス。性病感染されたヘルス。よし、早くどっか引越そう!

住む場所の選び方ってのは人によって様々だろうが、今更都会に憧れるような歳じゃないし、人にウケがいいからなんて理由で引越し先を決めるつもりはない。俺は俺のやり方で納得のいく場所を選ぶんだ。で、イエローキャブの事務所ってどこにあるんだろね?