オリベたんもまっつんもいなくなってしまった職場のなんと味気ないことよ。オリベたん、あんなにもおにぎりの似合う子は他にいなかった。まっつん、真剣にモニタを睨む顔がすごく不細工で憎めなかった。でも二人とも、今はもういない。タレントが消えた我がチームの損失は大きかった。でも僕は忘れていたんだ、最後の大物の存在を。

エレベータで移動中、カシワバラさんてば目の前にいたキノさんの髪の毛を後ろから引っ張るんだもんな。

「いてて、なにするんすか」

「あ、バレた」

「そんだけ引っ張れば気付くって。なにするんすか」

「えーだって、みんながヅラじゃないかって言ってたから、どうしても確かめたくてーえへへへ」

なんて無邪気な! おかげでこっちはものすごい緊張したってのに。もし取れたらどうすんだよ。前々から思ってたけど、この人自由すぎる。