ウォンさんに頼んだ仕事、まだ終わってないのかと後ろからモニタを覗き込むと、案の定、ネットしてやがる。フォント落として自国のサイト観てるから、何が書いてあるのかさっぱりわからないんだけど、聞いたら小説だと言う。

ふーん。しかしこの小説、やけに女を部首に使ってる字が多いですね。

そんな僕の質問を遮るように、唐突にウォンさんが話題を振ってきた。

「そうだヤングさん、今度ウチに遊び来てクダサイ!」

え、ウォンさんの家っすか?

「はい、ワタシ、スープ作ってゴチソウします!」

え、スープってどんなの?

「タマゴと、タケノコと、あとチンゲンサイを入れるね、トッテモ美味しいヨ!」

はーじゃあ、ダシはなんすか?

「ダ、ダシ?」

うん、ダシ。

「ダシって何ですか?」

え、だからダシですよ。俺もよくわかんないけど、煮干しとか昆布とか…

「ダー、ダ、ダシー?」

あ、トリガラとかかな? やっぱ。

「そんなモノ入れないヨ!」

え、それじゃ味気無いでしょう?

「ダシなんて必要ナイヨ! 塩で十分ヨ!」

四千年の歴史はどうした?