太った。





久し振りに何気無く乗った体重計が示したその数値は、記憶していた自分の今までの体重より3キロも多く、許せない値で、僕はとてつもなくショックを受け、そのダメージはもう、行間を5行空ける程。

だって僕は生まれてこのかた一度たりとも太っていたことはなく、今の体重というのは僕史上において記録を更新する重さであり、そういえばちょっと前からブヨブヨしてきた腹も気になっていた訳で、母さん、『北の国から2002遺言』の放送日はもうすぐです。(たのしみ)

僕がこうなった理由というのは、仕事中に食うお菓子のせいに他ならず、それもやはり非常に重要な職務をネットサーヒンの合間にこなさねばならぬプレッシャーに耐える為には仕方が無いことなので、ああ、床がブルボンルマンドの食べカスでいっぱいだ。

それにしてもなんだ。この醜い体は。ブヨブヨに肥え太り、まるで豚だ。僕は醜い豚野郎じゃないか。退屈な日々を惰性で過ごし、死んだ目をして地面を這いずり回る、うすのろの能無しの、豚じゃないか。

権力者に足蹴にされ、怯え、従うことしかできない、豚じゃないか。

美人で強気なOLのストッキングに包まれた足の蒸れ蒸れのつまさきのニオイを嗅ぎたがる、豚じゃないか!

嗅いだらすっげー臭かったとしても、何故か鼻を離すことができず、それどころか更に強く鼻を押しつけ、深く深く息を吸いこむ、豚じゃないか!!

うん、それも悪くない。