畜生なんなんだよ太陽、おまえ、暑いよ。俺になんか文句でもあるってのか。嫌がらせとしか思えない。まったくどいつもこいつも、ふざけるんじゃねえよ。

あればあったでなんてことはなく、特に行きもしないんだろうが、やっぱり、ないよりあったほうがいいんじゃないか海。だけどここは悲しき海無し県埼玉。

撃ち放った散弾は、何か言いながら近付いてきた男の頭に命中し、それはまるで、スイカのように砕け散った。

そうだ、要求は海にしよう。埼玉に海を作れ。砂浜にパラソル、ビーチベッド。テーブルの上には、冷やしたスイカ。そしたらあとは、ビキニギャルか。あー行ってねえなー海、食ってねえなースイカ、揉んでねえなー乳…

銃声を合図に警官達が押し寄せる。右肩に弾を受け、倒れた僕の上へ次々に奴らがのしかかる。

その瞬間に吹き抜けた風で沸き上がった、むせ返るようなワキガのニオイに紛れて、確かに潮の香りがした。