「まだ帰らないんですか?」

「あー、うん、終わんねーから」

「ふーん、毎日遅くまでがんばりますねー」

「あー、終わんねーからさ」

「ふーん」

「あのさ」

「はい」

「見られてると気が散るからさ」

「ふんふん」

「とっとと帰れよこのやろう」

「わー、ちょっとひどいんじゃないですか、それって」

「そうかね?」

「あ、そうだー昨日見せた爪」

「ん?」

「ほら、こことここ、もうとれちゃったんですよ、かなしー」

「うへー」

「え、なんですか?」

「いやー、昨日そんなに激しかったのかと思ってさ」

「昨日はやってない!」

「あ、そうなんだ?」

「昨日どころかここんとこずっとご無沙汰ですってば」

「へー、一緒に住んでて、そうなんだ」

「そうなんです、うれしいですか?」

「いや別に」

「どちらかといえば、うれしい?」

「いやいや」

「正直に、言ってごらん?」

「つーか、俺仕事あるからさ」

「ちぇー」

「もう帰れよ」

「はい、もうバスが無くなっちゃうんで、帰りますけどー」

「ああ」

「じゃあ帰りますけど、その前に言っておくこととか、ないですか?」

「…んー、あー、えーと、メリークリスマス」