ちょっとした野暮用で性病科。その病院のある街へ来るのは三年ぶりくらいか。住んでる皆さんには悪いけど、俺の中ではここ、哀しみの街ってことになってるから。あれからまあいろいろあったはずなんだけど、まさか、またここに来ることになるなんてな。

待合室がまた混んでてさ。俺が言うのもなんだけど、いる男は大概がキモいです。風俗の待合室にいるのと同じ層か。んで、女は可愛い子が多いのね。だからそれはつまり、プロなんだろな。そうだ確かここの本棚に、「お父さんは心配症」があったはずなんだけど、見つからなかったから「スラムダンク」を手に取って、これも読みたかったからまあいいか。

やっと呼ばれて入った診察室で、見知らぬ人にちんぽいじられるのはもう慣れてるけど、なんと今回はそれだけじゃなく、ええ、お尻もですか? あのぼく、そういうの経験ないし、むしろ今まで頑なに拒んできたっていうかっつう間もなくやけにあっさりヌルンとね。アタイ、こんなのはじめてなの…。な、なんか変。や、この感覚は。まずいっス、自分、ちょっとあの、大変っス。それなのに先生ったら指を入れたまま、「どうですか?」なんて聞いてくるんだもの。

「あ…安西先生、うんこが出そうです!」