漫画喫茶行ったとき、座敷の個室があった場合に、その部屋の前にパンプスがきちんと揃えて置いてあったら、ついつい持って帰りたくなりません! そんなことしないよ。持って帰ったら犯罪だもの。ちょっと借りるだけだけだって。

うそ。借りちゃだめ。その原始的な欲求を理性で抑えるのが人間だもの。腋からしゅるしゅると飛び出した触手が唸るけど、そこを我慢するのが人間ですもの。

洗脳とかもよくないと思うな。まあ俺がその気になれば、都内某所でOL10人と同居して週末には10人×月〜金で5日分の計50足のパンストをベランダに干すことも可能だけど、それは倫理に反するでしょう。だからしない。

でも今日は特別だから、俺の考えた洗脳テクニックを君だけに教えてあげるよ。よかったね。ただし、絶対にマネしないこと!

まずは夕暮れ時に家の前で言葉巧みに女性を誘うんだ。まあこの時期だったら、「いちごフェアーやってますよー」って言えば十中八九うまくいくと思うよ。さあ、うちにお上がりください。ブーツは玄関で脱いでください。

女性を椅子に座らせたらこう言うんだ。
「あれ? なんか臭うぞ?」
部屋中をくんくんしたあげく、最終的に女性の足に視線を向け、つぶやく。
「はっはーん、なるほどね…」
そんなこと言われた女性はたまらないだろうね。怒り出すかもしれない。そこをうまくなだめて、押入れから鳥かごを出す。
鳥かごの中のカナリアは狂ったように暴れだして、やがて死ぬ。それで女性は驚くんだね。えー、私の足ってそんなに臭いの!? って。
「こいつは…相当だぞ…」
なんて言って、俺は困った顔をしながらも、しかしあくまで冷静に、ポケットから取り出したハサミが怪しく光る。
「ちょっと失礼しますね」
パンストの片足のつまさきを引っ張ってチョキンと切り取り、それを薬品を溶かした液に浸す。するとみるみるうちに液体の色が変わっていくよ。俺はそれを見ながら声をもらす。
「すごい…本当に汚い…」
そして振り返って女性を見る。両手で顔を覆い、体を震わせて泣いている。女性は絶望に打ちのめされ、神と両親と恐ろしく臭い自分の足を呪う。そこでそっと近付いて、足の指をぺろっ。