日曜日に武道館の前通ったらさあ、すごい数の警備員がいたのね。だからご苦労様って。俺の安全の為にご苦労様ってね。でもよくよく考えたら違うんだ。例の日テレの24時間テレビのあれの警備してたんだよね。時給で。いや日給かな。わかんないけど。

そんで武道館から地下鉄の九段駅までの間がすごいの、若い娘っ子ばっかでさ。えらい人数だよ、黄色いTシャツ着ちゃってさ。これはあれだよね、KAT- TUNのファンでしょ。まあその中の一割くらいは、俺のファンもいたのかもしれないけどね。

でまあ、その女だらけの中を、圧倒されながら歩いてたら、後ろから自転車に乗ったおっさんがやってきて、急に歌いだしたんだ。

「むっちむち〜の〜むっちむち〜♪」

おっさんのその歌は、その場の雰囲気を的確に表し過ぎていた。天才じゃねえの。まあ馬鹿と天才は紙一重ってね。どっちにしてもおっさんは、なんかの電波を受信して、それをスピーカーみたいに口から吐き出した。聴いて驚いたのは俺。頭の中を覗かれたのかと思ったよ。