正直いままでラーメンで感動したことってなかった。ラーメンて難しいね。先輩なんかに連れてってもらったとき、これが困る。向こうは自信満々で聞いてくるからさ。「うまいだろ!」って。いや、まあ、うーん普通。でも「うまいっすね!」って答えるしかない。そう考えると映画と風俗、あとラーメンは1人で行ったほうがいいのかもしれない。

だいたいなんか最近のラーメンて高いよ。そんで、うまいですみたいな雰囲気出しちゃってさ。並ぶのもいやだな。店内には緊張感がただよってたりすんだ。カウンターに隣の人との仕切りがあんのとか、やりすぎだよな。そこまでやっといて、それでだよ、食べたらたいしたことなかったりしてな。えーって思うよ。騙されたーって。えーなにおそろいの黒いTシャツ着てんのーって。

でもついにみつけちゃった。俺にぴったりの店があったんだよ。最初に食ったときは驚いたね。スナック菓子を彷彿とさせる刺激的なスープ。なんだかよくわからない食感の麺。えー、うげっ、なんだこれ! うーーーまーーーい!!

それからそこに足繁く通うようになったんだけど、ちょっと不思議なことがあるんだ。その店、あんまり混んでないんだよね。メニューもラーメン以外に丼物、日替わり定食、冷奴、枝豆、カレーなんかもある。雑誌も各種置いてあって、いわゆるうまいラーメンを食わせる店って感じがまるでしないんだ。

客もそんなにラーメンを注文してないんだよな。おかしいと思って試しに炒飯を頼んで食べてみたら、すっげーまずい。ますます意味がわからなくなった。