テレビ観てたら、俺にそっくりな奴が出てきたんだよ。驚いた。ものすごく似てる。俺と同じ顔。なにやってんだ俺。なにインタビュー受けてんだ。途端にイヤな汗が吹き出してきた。

まあこれがまるきりの他人ならいいよ。でもこいつは俺と同じ顔なんだから。俺と同じ顔した奴が、変な眼鏡かけて、洒落た店でスイーツかなんか食いながら、食い物の能書き垂れてやがんだよ。きっついわ! そんなんされたら具合悪くなるっつの。

しかし俺もいままで散々キモいだのゲボいだの言われてきたけど、確かにその通りだわ。おーい俺と同じ顔の奴! もういいから! うんちく語るのヤメロ! よせって! こっち! こっち来なって! あーもう! キモいって! 特に顔が!

まったく酷い冗談だよ。これはあれか、俺が同じ顔の一家を笑った呪いか。もしくはラーメン屋に文句を言った報いなのか。だったらもうしませんから許してください。こんなのつらすぎる。俺もう外歩けねえよ!

ダッシュで鏡の前に行って、自分の顔を凝視した。あれ? なんか違うぞ。いや、基本的には同じ顔なんだが、あいつのほうが俺より肌が白いし、唇も赤い。ああそうか。あいつは15年前の俺と同じ顔なんだ。

あー、俺老けたなー。