絶叫マシンはけっこう好きだよ。ジェットコースターとか、すごく楽しい。ああいうの怖がる人も多いみたいだけど、だってあんなの、自分が運転する車に比べたら全然怖くない。レールの上だし、信号ないし、子犬が飛び出してくることもないからさ。

ところが週末に乗ったジェットコースターは、ちょっと今までと違ってた。高いし長いしおっかない。でもまあなんとか無事に降りて、やっぱり楽しいなーって出口に向かうと、乗ってるときに写した写真が売ってるんだよね。まあよくある手口だ。けっこういい値段するんだ。だから買う気はなかったけど、いちおう自分が写ってる写真を探してみた。

そんでみつけた写真見てびっくりだよ。おもいきり風受けて、前髪まくれておでこ全開になってて、しかもぴっかーって光ってんの。なんだこりゃあ、ベタすぎるオチがついたって思ったな。でもこれはコントじゃなくて俺の人生だから、ベタとかシュールとか関係ない!

おいおいなんてことしてくれちゃってんだ。俺のここの部分はね、よっぽど親密になった相手にしか見せたことのない箇所ですぞ! それをこんなパパラッチみたいな手口で撮って、大衆の面前に展示するなんて酷すぎる! 事務所的にもNGだって。これじゃ商売あがったりだよ!

たかがアミューズメントマシンが、ここまでプライベートな領域にまで踏み込んでくるなんて許されるのか? こんな哀しい結末が待っているなんて、乗る前の注意書きには書かれていなかったじゃないか。体格や健康状態や年齢に制限をつけるくらいなら、せめて頭髪がアレな人への配慮も欲しかった。

だけど全てはもう遅い。失ったマシンへの信用と俺の頭髪は戻ってこない。絶叫マシン怖い。