新聞紙のポテンシャル

窓ガラスを拭いた跡が消えない。跡を消すために拭くと、また新しい跡ができる。なんだこれ。禅問答か。はたして窓拭きに終わりはあるのか。このまま一生を窓を拭きながら終えたくはない。正月にはのんびり餅が食いたいのです。

この悩みをツイッターに投稿したら、いろんな人から「新聞紙! 新聞紙!」のレスポンスが。うん、俺も、窓拭きには新聞紙を使うといいってのはどっかで聞いたことあるよ。でもさ、なんかどうしても「昭和か!」って思ってしまって、やったことなかった。確かに新聞紙は梱包とか掃除とか、いろんなことに使えて便利だけど、君達はなにかと新聞紙に頼り過ぎ。

ああ、まあ、言われたから一応やってみたよ。濡らした新聞紙と乾いた新聞紙を使ったら……なんだ、けっこういいわ。やっぱり少しは跡が残ってしまうのだけど、メラニンスポンジと雑巾を使うよりずっといい。いいんだけど、マンションの4階のベランダで窓を拭いてると、外を歩いてる人に見られるでしょ? そんで見た人が「昭和か!」って思ってたらやだな。いやいや確かに新聞紙を使うのは古い手口だけど、この情報はいま大流行中のツイッターで教えてもらったんです。だから新しいのです! って書いてベランダから下げときたい。

いやーしかし新聞紙を見直した。新聞勧誘員も「うちのはとくに窓がきれいになる」とか言ったらいいんじゃないの。電子書籍じゃこうはいかないからね。そういやこないだ、喫茶店にノートパソコン2台を持ち込んでるカップルがいたんだけど、女のほうが「絵本だけは電子書籍化反対!」って言っててね。まあ何がアリで何がナシか、人によって境界線は違うだろうけど、おまえの境界線ガタガタだろって。

かくいう俺も、さっきまでは窓にちょっとだけ残った跡も許せなかったけど、夕暮れが近づき寒くなってきたことによるパラダイムシフトが起きて、 きれい/汚いの境界線が大幅にずれた。もう窓拭きは終わりでいいや。窓なんてある程度向こう側が見えりゃいいよね。