アユタヤの白いおっさん

タイのアユタヤってとこの遺跡に行ったとき象に乗った。アユタヤ遺跡を象に乗って散歩できるというふれこみで、まあ実際には象に乗って遺跡の近くを少し歩くだけなんだけど、なんていうか、盛り過ぎだと思った。象の上ってすごい揺れるから、乗ってるときに遺跡をじっくり見る余裕なんてない。遺跡は世界遺産ですごいんだし、象に乗るのは楽しいから、別々で充分に成立するのにわざわざ足してツーマッチになっちゃってる。両雄並び立たず。そういうの馬鹿馬鹿しくていいよね。まったく知らない土地に来たって感じがしていいよ。

そのアユタヤ遺跡の端にある象乗り場で順番を待ってたときに変な人を見た。象乗り場の横を通る道をまたいだ向こう側にはあばら家が並んでて、その真ん中にボロッボロのシートが架かってるほとんど骨組みだけのテントみたいなものがあって、その下に白いおっさんが座っていた。半裸で落ち武者みたいな頭の全身真っ白なおっさん。なんで白いのか気になり過ぎるのでずっと見てたら、なにかの容器を頭の上で振って白い粉をかぶり、それを全身にまぶしてた。

世界遺産のアユタヤ遺跡の横の象乗り場の向こうのテントの下の白いおっさん。なにがなんだかまるでわからない。さながら現代アート。周りにいる人たちが全く気にとめていないこともシュールに拍車をかけていた。タイってなんだかとてもゆるい。そういうのってなんかいいね。

日本に帰ってきてからこのことを思い返してみると、もしかしてあのおっさんは神様だったのかもしれないって思うんだ。