痒いなーと思って見ると、虫に刺されたような跡。でもそれはよく見慣れてる蚊に刺された跡とは違うっぽい。そんなことが度々起きたら認めざるを得ない。この部屋、なんかいる。俺の他にも住んでるやつがいる。

えー、じゃあ、点呼取るから。俺からいくぞ。

「1!」

「2ま〜い…」

「スリー」

「ヌラー」

あ、おばけ! あと外人! それとよくわかんないもの!
なんだおまえら勝手に住みやがって。出てけ!

ふー、いなくなったか。
よーしじゃあ念のため、もう一度点呼いくぞー。

「1!」

「うーふーふーふー」

「犬、怖い!」

「なにごとでござるか」

あ、猫型ロボット! まぬけおばけ! 子供忍者!
ここどんな部屋だよ。いったいどうなってんだよ。
ピーピーピー!
あ、俺行かなきゃ。じゃあ後は頼んだよコピーロボット

ってわけでそのまま飛んで実家に帰ったんだけど、そしたら母の腕に俺と同じ虫刺され跡があるんだよ。なんて偶然なんだ。
「最近の蚊の跡は昔と違うねえ」
そう言いながら腕を掻きむしる母。おののく俺。

慌てて逃げ出して、みつけた薬局に駆け込んで、アースレッドを買った。俺のあまりの狼狽ぶりに驚いていた店員に事情を話すと
「ほう、その跡ってのは……」
ぎゃー!

部屋に帰ってすぐにアースレッドを使ったよ。もう虫の好き勝手になんてさせてられないんだ。説明書には家電を密封しろって書いてあったけど、まあ面倒臭いので、パソコンだけビニール袋に入れといた。いちおうブロガーとして煙がモクモク焚かれたとこを写真に収め、その後は漫画喫茶へ避難。

数時間後、戻ってみると…特に部屋に変化なし。窓を開けて換気して、部屋を見回してみても、まったくなんにも変わってない。なーんだつまんない。アースレッドって思ったよりつまんない!

しかしほんとに効いたのかな。
よーしじゃあ点呼取ってみるか。

「1!」

「2ま〜い…ゴホッゴホッ」

「スリー…ゴホッゴホッ」

なんだよ。もういいよおまえら。あれ? よくわかんないものはどこ行ったんだろ。心配だな。
でもまあいっか、テレビでも観るか。

「ニュースの時間です…ゴホッゴホッ」

それからは変な虫に刺されることは無くなった…ゴホッゴホッ。