いろんなとこで言わされる

そう言うしかないでしょって場面があるじゃないですか。え、ないですか。そうですか。いや、あるとして。その方向でよろしくお願いします。

よくあるのが、たとえば仮にアアアって服のブランドがあったとするでしょ。でそのアアアの商品しか置いてないアアアの店に入って服を見てたら、そこの店員が寄ってきて「アアア好きなんですか?」って訊かれちゃって。いや俺はべつに、アアアをそんなに好きってわけでもない。だけどそんなときは「好きです」としか言いようがない。

しかしなんつう質問だ。そんなのはだって、なんとも思ってない女性に「私のこと好き?」って訊かれるようなもんだ。どれだけ自分に自信あるんだ。そのくらいイカレタ質問なんだと、服屋の店員は猛省してほしい。

次のケース。カバン屋で小柄な女の店員が、俺が手に取って見てたカバンを「それはこういう感じで」と取り上げて自分の肩に掛け、ポーズをとってニコッてされたときは「可愛いですね」と言わされた。確かに可愛かったけど。けど!

あとは寿司屋ね。カウンターはやばい。大将そんな見ないで。ちょっとしばらくほっておいて。僕はひとりで、もぐもぐむしゃむしゃしたいから。でもごくんと飲み込んだあと、やっぱりまだ大将は見てたし、笑顔だし、「美味しい!」って言うよね。普段は出ないテンションで。

居酒屋では、俺の他に客がいなくて、カウンターに座って焼き魚を頼んだら、そこのママが「やってみる?」って若い女の子に作らせて。出された焼き魚を食べてたら、作った女の子が俺に「大丈夫ですか?」って。えー、飲食店でそんな質問が出る? 大丈夫じゃないってこともあるの!? しょうがないから「美味しいですよ」と教えてあげました。